10年ほど前に父親が亡くなりました。亡くなる前には母親と兄弟で父親の介護も経験しました。その時に、かかりつけの医者にいろいろと聞いたのですが、その時のメモが出て来ました。かかりつけの医者は「この先、こんな風なことが起こらないよう予防しましょうね」と繰り返し言っていました。予防医学と言っていました。簡単に言えば、予防医学とは、将来病気にならないようにするために予防することです。
予防医学は高齢者が寝たきりにならないためのメソッドだ
父親が寝たきりになる5年ほど前から、軽い認知症の症状が表れて来たので、かかりつけの医者にいろいろと注意することを言われました。それが予防医学と言われるものでした。なので、このサイトでの予防医学は、高齢者に特化したものです。高齢社会と言われている中で、高齢者が寝たきりにならないための予防医学の基礎を大まかにまとめています。
予防医学というもの
日本は高齢社会と呼ばれて久しくなりました。誰もがいずれ老後という時期を向かえなければなりません。その老後の生活をより快適に過ごすためには、やはり健康ということを外して考えることは出来ません。そんな中で、予防医学というものが注目されるようになりました。この予防医学には、あらゆる病気や症状など、健康的な生活の妨げになるようなことを事前に防ごうという取り組みもその一つに含まれています。
予防医学は、いきなり老後を見据えて、あらゆる病気や症状に対処しようというものではありません。今の自分に合った、今の自分に出来る、健康のための取り組みをしましょうというものです。ある人は日ごろの食生活に気をつけているかもしれません。ある人は、毎日30分の散歩を欠かさずに行っているかもしれません。また、毎日の歯磨きをとても丁寧にしているかもしれません。人それぞれに健康のための取り組みがあるということです。
以上のようなことから、例えば日本人の死亡原因の上位に上げられている「がん」、「心疾患」、「脳血管疾患」などの生活習慣病などへの関心を深め、間違った生活習慣を改めて、健康的な生活を送り、あらゆる病気や症状などを予め防ぐことを目的としたものが予防医学なのです。
自分の健康は、やはり自分で守るという気構えが必要です。そういった気構えが出来たところから、自分の健康を維持するために、今やれることを今から始めることが大切なのです。
予防医学を分類すると
予防医学は、病気になってしまったらその機能が果たせなくなってしまう訳ではありません。予防医学は、病気になる前に対処することだけではなく、もし病気になった場合でも、その進行を遅らせたり抑えたりすることも予防の範囲としています。更に、がんなどの病気の再発を防ぐこともそれの範囲としています。
以上のことより、予防医学は、その病気の症状や進行状況などから、一次予防、二次予防、三次予防とに分類されています。
予防医学による一次予防は、病気に罹らない身体作りになります。間違った生活習慣を修正して健康な身体を保ったり、予防接種などで感染症などの病気を寄せない身体にしておくことが大切になります。
二次予防は、もし病気に罹ってしまった場合でも、定期的な検診や検査で早期発見をし、適切な治療と生活指導で病気が重くならないようにするということです。
そして、更に三次予防では、病気の治療段階で、リハビリなどの訓練を積極的に受け入れたりして機能の回復を目指して、病気の再発を防止することがその役割となります。
特に、この三つの予防対策はがんに当てはめると、その予防機能が明確になると思います。日頃から、病気にならないための身体作りなどの努力を惜しまず、積極的に検診などを受けて早期発見出来る努力を自らすることによって大きな病気を防ぐことが出来るでしょう。
転倒事故の予防
ここはとても大事なところです。運動不足だった父親は、すぐ隣の駐車場の少し上りになっている場所で転んでしまい、一人で起き上がれず、たまたま通りがかった方に支えられて家に連れて来て貰いました。その時から父親はあまり外に出ることがなくなってしまったんです。
高齢社会の観点から、自分の健康は自ら守るという必要性が出てきました。特に予防医学の観点からは、難しいことを提案するのではなく、日頃の生活の中でほんの少しの配慮から怪我や病気が防げるというものです。
高齢になるとどうしても転倒による怪我が増えます。特に年齢と共に骨はもろくなっていますので、ちょっとした転倒で骨折してしまうということになりかねません。そして、その骨折を治療している間に、寝たきりの生活になってしまったということはよく耳にします。このような悪循環を招かないためにも、日頃の運動や生活環境の中の危険な箇所のチェックが必要となります。
まず、日頃の運動を積極的に行うことにより、安易な転倒を防ぐということは非常に大切です。運動といっても、大げさなことをすることはなく、毎日の散歩だけでも違ってきます。転倒の原因の多くは、自分が思ったほど足が上がっていなくて、ちょっとした段差や傾斜に足を取られてしまうということが多いのです。このようなことを防ぐためにも散歩だけでもすることが大切になってきます。
次に、生活環境の中の危険な箇所のチェックです。生活環境の中の危険というと、バリアフリーにすれば解決すると思われがちですが、そこまでする必要はなく、家の中をもう一度見直して、もっと手軽に危険箇所を改善することです。例えば、部屋の中の細々とした物を片付けたり、電化製品のコードは長いまま出しておくのを止めて、巻いてコンパクトにしたり、カーペットの端などをめくれないように両面テープで止めたりすることを言います。出来たら、要所々に手すりがあるとかなり危険から回避出来ますので、手すりの設置なども検討するとよいでしょう。お年寄りの転倒事故は、外よりも自宅の中で起きることの方が多いそうですので、自宅の中も目線を変えて見てみることも大切なことだと思われます。
寝たきりにならないために
寝たきりになってしまう原因の一つに骨折があります。骨折で寝たっきり?と、疑問符が付きそうですが、大きな要因なのです。年を取ると、骨折も治り難いのですが、その治療中にいろいろなところの筋力が落ちてしまい、そのまま寝たきりになってしまうということが多いようです。
転倒してしまうことを他人には防ぐことは出来ません。だとすれば、やはり自分の健康は自分で守るということから、日頃から転倒しないように注意することと結論が出てしまいますが、では、どうしたらよいのでしょうか?これは、運動の他に手立てはありません。無理した運動は必要なく、毎日少しでも歩く癖をつけるということです。短い時間でも毎日の散歩が有効だと言われています。散歩をするだけで、寝たきりになるのを予防出来るのなら、こんなに手軽なことはありませんね。老いは誰にでもやってくるものですが、それを少しでも先に送るには運動が一番なのです。
もう一つ、寝たきりになってしまう原因に脳卒中があります。これは知っての通り生活習慣病の一つとされています。脳卒中の予防には、飲酒や喫煙、肥満、ストレスなどからくる高血圧や糖尿病などに気をつけなければなりません。是非、日頃の生活習慣を見直し、生活習慣病に繋がる因子を消していくのが脳卒中を防ぐことになり、ひいては寝たきりになってしまうことの予防になるのです。
骨折も脳卒中も、運動から予防することが出来ます。手軽な散歩や、場所や時間を選ばず出来る簡単な体操などから始めることをお薦めします。予防医学もこんなところから始まります。